伊勢旅行記 あとがき

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伊勢旅行記 〜夏の終わりの贅沢な旅のお話〜【序章①】
伊勢旅行記 〜夏の終わりの贅沢な旅のお話〜【序章②】
伊勢旅行記 第1章① 〜日常からの旅立ち〜
伊勢旅行記 第1章② 〜伊勢神宮 外宮〜
伊勢旅行記 第2章① 〜新しい、いにしえの宿〜
伊勢旅行記 第2章② 〜消え行く緊張と現実感〜
伊勢旅行記 第2章③ 〜お風呂三昧〜
伊勢旅行記 第3章 〜本当に素材を活かす料理とは〜
伊勢旅行記 第4章① 〜おもてなしと欲。夜鳴きそば〜
伊勢旅行記 第4章② 〜言葉のお守り。ひとりの時間〜
伊勢旅行記 第5章 〜早起きと伊勢のかたぱん〜
伊勢旅行記 第6章① 〜伊勢神宮の早朝参り〜
伊勢旅行記 第6章② 〜神様へのお願いごと〜
伊勢旅行記 第7章 〜作りたての赤福とその由来〜
伊勢旅行記 第8章 〜まどろみと二度目の朝。朝食〜
伊勢旅行記 第9章 〜旅の中で、旅に出るということ〜
伊勢旅行記 終章① 〜お伊勢さんには人が集まる。時の流れのこと〜
伊勢旅行記 終章② 〜家族それぞれの視点から見たおかげ横丁〜
伊勢旅行記 終章③ 〜実際的なおかげ横丁の歩き方〜

後日談になるが、帰りはとてつもない渋滞に巻き込まれたり、職場で土産話を聞いてもらったり(大体の人は、伊勢神宮経験者という点において先輩なのだ)、父がこっそり買ってくれた小銭入れのデザインがとても好みだったり、まだまだ旅行は続いている感じがした。

旅のいいところ。それは、旅の終わりが、終わりではないところ。
それは、わたしたちのこれからに、ところどころで顔を出し、心に灯りをともしてくれる。

旅には2つある。1つは、ある種の疲労を伴いつつも、挑戦や好奇心を満たしたり、目的を達成する旅。もう1つは、旅に目的を設けず、現実から離れた治癒のような役割を果たすそれ。

今回の伊勢は、明らかに後者だろう。忘れない。この旅があったことを。
どうやら思い出を次々と忘れていってしまう脳の仕組みになっているわたしは、こうして目に見える形で残しておくのだ。
25歳の夏。ここではわたしは、まだ子どもでいられる。

帰りは妹と母が運転してくれ、わたしは例によってぐっすりと眠り込んだ。
夕暮れ

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ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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